
こんにちは。Rental&photo ARIEL+桂 宇多津店の増田です。成人の日を迎えられた皆さま、おめでとうございます。香川県では全国より一日早く、成人式が前日に行われた地域も多いですね。
式典や同窓会など、振袖姿で過ごした時間は一生に一度の思い出になったことでしょう。
華やかな一日を終えたあとの振袖は、目に見えない汗や皮脂、帯まわりのシワなど、実は思っている以上に“お疲れ”の状態です。「一度しか着ていないから大丈夫」と思ってそのまましまってしまうと、時間の経過とともにシミやカビ、黄ばみの原因になることも…。
大切な一着を長く美しく保つためには、成人式後のお手入れが何よりも大切です。
そこで今回は、呉服屋スタッフの視点から
「振袖を着たあとの正しいお手入れ方法」を、まとめました。
思い出の詰まった振袖を、次の世代にも美しく受け継げるように。
着たあとのひと手間で、大切な一着の寿命はぐっと変わります。
ぜひこの“お手入れ完全ガイド”を参考に、あなたの振袖を末永く守ってあげてください。
💠振袖は“着たあと”がとっても大切!
着物は、洋服のように毎日洗濯できるものではありません。
一度着ただけでも、汗や皮脂(ひし)、ファンデーションの粉、帯締め(おびじめ)の跡など、
目には見えない汚れや湿気が確実に残っています。
これをそのままにしてしまうと、時間が経ってから黄ばみやカビ、変色の原因になってしまうんです。
特に振袖は、正絹(しょうけん=シルク)素材が多く、とても繊細。
湿気や光、摩擦に弱く、保管環境によっては数ヶ月で状態が変わってしまうこともあります。
「一度しか着てないし、きれいだから大丈夫!」と思っても、
実は“見えない汚れ”が振袖を傷める一番の原因**。
成人式や撮影が終わったあとに、きちんと風を通して汚れをチェックするだけでも、
その後の持ちが大きく変わります。
お手入れを少し意識するだけで、
大切な一着を何十年先まで美しく残すことができます。
そして、将来お嬢様が「ママ振袖」として娘さんに受け継ぐことも夢ではありません。

💠知っておきたい!振袖のお手入れの基本ステップ
① 着たあとはすぐに「風通し」
振袖を脱いだら、まずはすぐに湿気を飛ばすことが大切です。
着ている間に、体温や汗で着物の内側に湿気がこもっています。
ハンガーに掛けて、直射日光の当たらない風通しの良い場所で半日ほど陰干ししましょう。
このとき、帯や長襦袢(ながじゅばん)も同じように掛けておくと安心です。
💡ポイント:エアコンの風やドライヤーを当てるのはNG!生地が縮んだりテカったりすることがあります。
② 汚れチェック
陰干しが終わったら、明るい場所で全体をチェックします。
ファンデーションが衿元についていないか、袖口(そでぐち)や裾(すそ)に黒ずみはないかなど、
汚れやシミを早めに発見することが大切です。
特に要チェックな箇所は…
- 衿まわり(ファンデ・皮脂汚れ)
- 袖口(手あかや飲食汚れ)
- 裾まわり(砂ぼこり・泥はね)
- 帯まわり(汗ジミ)
もし気になる汚れを見つけても、
自分で拭いたりこすったりせず、専門店に相談してください。
自己処理でシミが広がってしまうケースがとても多いです。
③ たたんで一時保管
湿気と汚れチェックが済んだら、
着物専用のたとう紙(和紙の包み紙)にたたんで入れましょう。
すぐにクリーニングに出す場合も、折りジワを防ぐために軽くたたんでおくのがおすすめです。
💡注意:ビニール袋は湿気がこもりやすく、カビの原因になるのでNGです。
④ 必要に応じてクリーニングへ
一度しか着ていなくても、汗をかいたりメイク汚れがついた場合は、
**着物専門のクリーニング(丸洗い)**を検討しましょう。
目に見えない汚れも、時間が経つと黄ばみの原因になります。
成人式や撮影後などは、
「そのまま保管」ではなく「一度リセットして保管」が理想的です。
⑤ きちんとしまって保管
クリーニングが終わったら、
防虫剤と乾燥剤を入れて、タンスや桐箱などに保管します。
風通しの悪い場所や湿度の高い押し入れの下段は避け、
**定期的に風を通す(年2〜3回)**ことも大切です。
⚠️“とりあえず掛けておけば大丈夫?”はNG!正しいお手入れの流れ
● NG例①:そのままクローゼットに掛けっぱなし
洋服と同じ感覚でクローゼットに掛けておくと、
湿気やホコリ、日光によって生地が変色・カビ発生することがあります。
特に絹(シルク)は湿気に非常に弱く、
わずかな水分でも変質してしまうことがあるほどデリケート。
✅ 正しい方法:
着たあとは、まず陰干しをして湿気を飛ばすこと。
風通しのよい部屋に着物ハンガーを使い、半日~1日程度かけて乾かします。
その後、きれいにたたんでたとう紙に包み、通気性のある場所へ収納します。
● NG例②:汚れチェックをせずにそのまま保管
ぱっと見てきれいに見えても、
実は衿まわりや袖口にはファンデーションや皮脂の汚れが付いていることが多いです。
この汚れを放置すると、黄ばみ・変色・シミになって現れてきます。
✅ 正しい方法:
陰干し後、明るい場所で全体をチェック!
気になる箇所を見つけたら、
自分で触らずに着物専門のクリーニング店に相談するのが安心です。
💡特に注意:淡い色の振袖ほど汚れが目立ちやすいので要チェック。
● NG例③:ビニールカバーで密封保管
クリーニング後についてくるビニール袋、
実は長期保管には不向きです。
中に湿気がこもってカビの原因になることがあります。
✅ 正しい方法:
ビニールを外して、和紙製のたとう紙に入れるのが一番安全。
さらに、タンスや桐箱に収納する場合は、
防虫剤や乾燥剤を適量入れ、年に数回風を通すようにしましょう。
● NG例④:「一度しか着てないから大丈夫」と思い込む
成人式や前撮りなど、短時間の着用でも汗や皮脂はついています。
とくに帯まわりや脇の部分は、見えない汚れが溜まりやすい場所です。
✅ 正しい方法:
目に見えなくても、丸洗い(着物専門クリーニング)に出してリセットするのが理想。
数年後に着る予定がなくても、
一度汚れを落としてからしまっておくことで、生地の寿命がぐっと延びます。
💠脱いだらまずは風通し!振袖をハンガーに掛けるコツ
🪶なぜ“風通し”が大切なの?
振袖は、洋服のように洗濯機で洗うことができません。
だからこそ、着たあとの湿気をきちんと飛ばすことが一番のケアになります。
湿気を残したまま収納すると、
- カビが発生して白いポツポツが出る
- 絹独特の風合い(ツヤ)がなくなる
- 生地が硬くなり、しわが取れにくくなる
といったトラブルが起こりやすくなります。
🪞風通しの手順とポイント
- 着物ハンガー(和装用ハンガー)を使う
洋服ハンガーだと幅が狭く、袖が垂れ下がってシワや型崩れの原因になります。
着物ハンガーは裄(ゆき=袖の長さ)に合わせて伸ばせるタイプが便利です。 - 直射日光は避けて“陰干し”する
窓際ではなく、風通しの良い部屋に掛けましょう。
目安は半日〜1日ほど。
エアコンの風やドライヤーはNGです。生地が乾燥しすぎて縮みやテカりの原因になります。 - 帯・長襦袢・小物も一緒に風通し
帯や長襦袢も同じように湿気を含んでいます。
それぞれ別のハンガーに掛けて、しっかり乾かしておくと安心です。 - 湿気を吸い取る工夫を
雨の日や湿度の高い季節は、
除湿機を近くに置く・扇風機を“弱風”で回すなどして空気を循環させましょう。
⚠️やりがちなNGポイント
- × 窓際で日光を当てて干す
→ 色あせ・変色の原因になります。 - × 畳の上や床に置いて風通し
→ 下から湿気を吸い込み、カビのリスクが高まります。 - × ハンガーに掛けたまま何日も放置
→ 袖や裾が伸びて型崩れすることも。
💠家に着物用ハンガーがない場合の代用方法
① 幅広タイプの洋服ハンガーを“2本使い”する
着物ハンガーは袖をピンと広げられる構造ですが、
ない場合は洋服ハンガーを2本使って代用できます。
やり方:
- まず1本に身頃(みごろ/胴の部分)を掛けます。
- もう1本を袖の部分に通し、袖が床につかないようバランスを取ります。
これだけでも、通気性を確保しながらシワを防ぐことができます。
金属ハンガーではなく、木製やプラスチック製など、
幅が広めで跡がつきにくいタイプがおすすめです。
② 物干し竿+タオルで即席“着物干し”
広いスペースがあれば、
物干し竿にタオルを掛け、その上に着物をふんわり掛ける方法も◎。
タオルを間に挟むことで、
滑り止めと湿気吸収の両方の効果があります。
💡ポイント:
肩の部分に重みがかからないよう、
袖を軽く広げて全体に空気が通るようにするとGOOD!
③ 長襦袢や帯は“ピンチハンガー”で別干し
長襦袢や帯は軽いので、
洗濯用のピンチハンガーでも代用できます。
ただし、強く挟むと跡が残るので、
クリップの間にティッシュや薄い布を挟むと安心です。
④ 最後は“平置き陰干し”でもOK(応急処置)
もしどうしても掛けられる場所がない場合は、
テーブルの上などに清潔なバスタオルを敷き、平らに広げて陰干しでも構いません。
ただしこの場合は、片面だけでなく
2〜3時間おきに裏表をひっくり返すようにして、湿気をしっかり逃がしましょう。
💠ファンデーション・汗ジミ…よくある汚れの見分け方
振袖を脱いだあと、パッと見た感じでは「きれいそう」と思っても、
実は見えない汚れがしっかり残っていることが多いんです。
特に成人式や前撮りなど、長時間の着用では
汗や皮脂・メイク汚れなどが生地に浸み込みやすく、
そのまま放置すると黄ばみやシミ、カビの原因になります。
ここでは、呉服スタッフが実際に点検時に見ている
「よくある汚れ」と「見分け方のコツ」をご紹介します。

👘① 衿(えり)まわり(ファンデーション・皮脂)
一番汚れやすいのが、首すじにあたる衿まわりです。
ファンデーション・皮脂・ヘアスプレーなどがうっすら付着し、
時間が経つと黄ばみや変色になります。
🩵チェック方法:
- 明るい自然光の下で、斜めから見ると汚れが浮き出て見えます。
- うっすらベージュや黄みがかっている場合は要注意。
💡衿元が白や淡い色の場合、少しの汚れでも目立ちやすいので念入りに!
💅② 袖口(そでぐち)(手あか・飲食汚れ)
手を動かすたびに袖が触れるため、
袖口は意外と汚れが付きやすい部分です。
特に食事やスマホ操作をしたあとは、知らないうちに汚れていることも。
🩵チェック方法:
- 袖の内側・外側の両方を見る
- 黒ずみ・うっすら黄ばみ・テカリがあれば皮脂汚れの可能性
🍵③ 裾(すそ)まわり(泥はね・ほこり)
立ち座りや歩行時に床や草に触れることで、
裾(すそ)には砂ぼこりや泥はねがつきやすいです。
とくに雨の日や雪道では注意が必要です。
🩵チェック方法:
- 裏地(八掛=はっかけ)をめくって確認
- グレーや茶色の筋汚れがあれば要クリーニング
🩸④ 脇(わき)まわり(汗ジミ)
汗をかいた場合、脇や背中あたりに汗ジミができることがあります。
絹は吸湿性が高いため、見た目では分かりにくいことも。
🩵チェック方法:
- 光に透かして見ると、うっすら濃淡が分かる場合あり
- 特に夏場や照明の強い撮影スタジオで着た場合は要注意!
💍⑤ 帯(おび)まわり(皮脂・摩擦)
帯を締めた部分は、汗や圧によって生地が疲れやすい箇所です。
帯下や背中部分に皮脂・汗・擦れが溜まっていることも。
🩵チェック方法:
- 帯を外したあと、帯下の部分をチェック
- 光沢が変わって見えたら、繊維が摩耗しているサイン
✨チェックのポイントまとめ
| チェック箇所 | 汚れの種類 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 衿まわり | ファンデーション・皮脂 | 斜めから光を当てて見る |
| 袖口 | 手あか・飲食汚れ | 黒ずみ・テカリを確認 |
| 裾まわり | 泥はね・ほこり | 裏地(八掛)をめくる |
| 脇・背中 | 汗ジミ | 光に透かして確認 |
| 帯まわり | 皮脂・擦れ | 帯下の色の変化を見る |
💠目立たない汚れが一番怖い!放置NGの汚れポイント
💄1. ファンデーション・皮脂汚れ
衿まわりや袖口には、気づかないうちにファンデーション・皮脂・汗がついています。
これらはすぐには目立たなくても、時間が経つと黄ばみや変色の原因になります。特に白や淡い色の振袖は、数か月後に「うっすら黄ばんでる…」というケースがとても多いです。
☕2. 食べこぼし・飲み物のシミ
成人式や撮影のあとに食事をされる方も多いと思います。
透明な飲み物(お茶やジュースなど)でも、糖分が残ると黄ばみやカビの原因になります。特に帯の下あたりや袖先は、知らないうちに触れていることが多いポイントです。
💧3. 汗染み・湿気
一見目立たなくても、体温や照明でたっぷり汗を吸っています。
汗が残ったまま保管すると、生地が波打ったり、ニオイやカビの原因になることも。
絹は湿気を吸いやすく放出しにくいため、風通しをしっかり行うことがとても大切です。
🍃4. 花粉・ほこり・髪のスプレー
屋外撮影をした方は、花粉やホコリが生地の繊維に入り込んでいる場合も。
また、ヘアセットのスプレーやオイルが飛んで、生地のツヤを変えてしまうこともあります。
これらも放置すると、変色や汚れ固着の原因になります。
💠帯・長襦袢・小物類も忘れずチェック!お手入れの優先順位
① 振袖本体|最優先で風通し&点検!
まず一番に確認すべきは振袖本体です。
絹地は湿気や皮脂にとても敏感。時間が経つとシミや黄変が進行するため、できるだけ早く風通しをして汚れの有無をチェックしましょう。
特に衿・袖口・裾・背中の汗じみは要注意ポイントです。
② 長襦袢(ながじゅばん)|汗汚れの宝庫!
長襦袢は、直接肌着の上に着るため、汗や皮脂を最も吸っている部分です。
見た目がきれいでも、内側にうっすらと汗染みができていることもあります。
脱いだらすぐに単独で風通しをして、衿や脇のあたりをチェックしましょう。
半衿が取り外し式なら、外して別洗いしておくのがベストです。
③ 帯|見た目よりデリケート!
帯は一見汚れていないように見えますが、実は手の皮脂やヘアスプレーの付着が多い部分。
帯地は繊細で、折りジワのまま放置すると型がついて戻らないこともあります。
使ったあとは緩めに巻き直し、風通しをしてから収納するようにしましょう。
④ 小物類|帯揚げ(おびあげ)・帯締め(おびじめ)・重ね衿(かさねえり)も要チェック!
これらの小物も意外と汚れています。
帯揚げにはファンデーションや汗、帯締めには手の皮脂や整髪料がついていることが多いです。
白系の小物は特に汚れが目立ちやすいので、洗える素材なら早めにお手入れを。
絹素材のものは無理に洗わず、呉服店に相談すると安心です。
🩰お手入れの優先順位まとめ
| 優先度 | アイテム | 対応内容 |
|---|---|---|
| ★★★★★ | 振袖本体 | 風通し・シミ確認・早めのクリーニング依頼 |
| ★★★★☆ | 長襦袢 | 汗じみ・衿汚れ確認・半衿取り外し |
| ★★★☆☆ | 帯 | 形を整えて風通し・折りジワを防ぐ |
| ★★☆☆☆ | 小物 | 汚れ確認・洗える素材は手洗いまたは相談 |
💠箪笥(たんす)で保管するときの正しい収納のコツと注意点
🌸1. 収納前に“完全に乾かす”が大前提!
風通しをしたあと、すぐにたたんでしまうのはNG。
着用中に吸った湿気や汗が少しでも残っていると、カビや変色の原因になります。
直射日光の当たらない風通しの良い場所で、半日〜1日程度陰干ししてから収納しましょう。
💡ポイント:
風通しのあとは、畳む前に軽く手でなでて生地を整えると、次に着るときにシワが出にくくなります。
🎀2. たたみ方は「本だたみ」または「袖たたみ」でOK!
呉服店では「本だたみ」と呼ばれる基本の畳み方で保管します。
慣れていない方は、YouTubeや呉服店のスタッフに教えてもらうのもおすすめです。
もし難しい場合は、「袖を中に折り込んで軽く半分に畳む」だけでもOK。
大切なのは、シワを強く押しつけないことです。
💡プロの豆知識:
帯は巻いたままだと跡が残るため、帯板や厚紙を挟んで軽く巻き直してから保管すると型崩れを防げます。
🌿3. 収納場所は“風通し・湿度”がカギ!
箪笥に入れるときは、以下の条件を意識してください。
- 木製箪笥なら、通気性がありベスト◎
- クローゼットの場合は、通気用のすき間をあけること
- 下段よりも中段〜上段のほうが湿気が少なく安心
- 防虫剤・除湿剤は必ず「和装用」を使用(化学反応で変色するものもあるため注意)
💡避けたい環境:
・押し入れの奥
・床に直接置く収納箱
・ナフタリンや樟脳など、強い防虫剤の併用(シミや臭い移りの原因になります)
📦4. 収納袋は「たとう紙」か「通気性カバー」が◎
振袖を収納するときは、**たとう紙(和紙製の保護紙)**が基本です。
通気性があり湿気を逃してくれるので、着物を守るのに最適。
ただし、年数が経つと紙自体が黄ばんで湿気を吸うため、2~3年に一度は新しいものに交換しましょう。
最近では、不織布製の通気カバーも人気。虫除けやカビ防止効果があるタイプもあります。
🪄5. 定期的に“虫干し”をしてあげましょう
どんなに丁寧に収納しても、年に1〜2回は**風通し(虫干し)**をしてあげることが大切です。
秋〜冬の晴れた日、湿気の少ない日に半日ほど広げて陰干ししましょう。
長期保管していた着物も、これでふんわりとした手触りに戻ります。
💠防虫剤・乾燥剤の使い方を間違えると逆効果!振袖保管の落とし穴とは?
1. 防虫剤・乾燥剤は「入れすぎ」が一番危険!
振袖をタンスや衣装箱にしまうとき、つい「虫に食べられないように」「湿気を防ぎたい」と思って、防虫剤や乾燥剤を多めに入れてしまう方がいます。
しかし、これが実は逆効果になることもあります。
●防虫剤を入れすぎると…
防虫剤にはガスが発生するタイプが多く、その成分が着物の絹に影響を与えることがあります。
密閉された空間で防虫剤を複数種類使うと、成分同士が化学反応を起こして「変色」「シミ」「異臭」の原因になることも。
特に、ナフタリン系とパラジクロロベンゼン系は一緒に使うと非常に危険です。
同時に入れてはいけないという注意書きを見落としがちですが、これは必ず守ってください。
💡ポイント
・防虫剤は1種類のみ使用する
・タンスや衣装箱1段につき、1〜2個で十分
・防虫剤は着物の上ではなく、衣装箱の上部に置く(ガスは下に沈むため)
これを守るだけでも、虫食いや変色のリスクを大きく減らせます。
2. 乾燥剤も“入れっぱなし”はNG!
湿気対策に乾燥剤を入れるのはとても良いことですが、長期間入れっぱなしにしてしまうと、逆に湿気を呼び込む原因になることがあります。
乾燥剤は一定期間を過ぎると吸湿力がなくなり、飽和状態になると湿気を放出してしまうのです。
特に梅雨や夏場は湿度が高く、乾燥剤の寿命が短くなりがち。
「去年入れたままだから安心」と思っていると、箱の中が意外としっとり…ということも珍しくありません。
💡ポイント
・乾燥剤は3〜6か月を目安に交換
・タンスの下段に設置(湿気は下に溜まるため)
・除湿効果が弱まる前に定期的にチェックする
また、乾燥剤を入れすぎると過乾燥になり、絹の繊維がパサついて傷むこともあります。
「適度な湿度(40〜60%)」が、振袖の生地を美しく保つカギです。
3. 防虫剤と乾燥剤は「一緒に入れない」が基本
意外と多いのが、「防虫剤と乾燥剤を同じ箱に一緒に入れる」ケース。
これも実はおすすめできません。
なぜなら、防虫剤のガス成分は湿度の影響を受けやすく、乾燥剤があると気化のバランスが崩れてしまうためです。
結果として、防虫剤の効果が十分に発揮されなかったり、逆にガスが濃くなって生地を変色させることもあります。
💡正しい使い分け
・防虫目的なら防虫剤のみを使用
・**湿気対策が必要な季節(梅雨〜夏)**は乾燥剤を中心に
・年に1〜2回、衣装箱の中身を確認してどちらを入れるか切り替える
衣替えのタイミングで、季節ごとに入れ替えてあげると理想的です。
4. ビニール袋やカバーに入れたままは絶対NG!
クリーニングから戻ってきた振袖は、ビニール袋や透明カバーに包まれていることが多いですよね。
しかしそのまま保管してしまうのは大きなNG。
ビニールは通気性が悪く、湿気がこもってカビや黄ばみの原因になります。
保管する際は、必ずビニールを外し、通気性の良い「たとう紙(文庫紙)」に包んで収納してください。
たとう紙は湿度を適度に吸収・放出してくれるため、着物を自然な状態で守ってくれます。
また、紙が古くなって黄ばんできたら、1〜2年を目安に交換しましょう。
💡プロのアドバイス
・和紙製のたとう紙を使用する
・着物の上に防虫剤を直接置かない
・防虫剤は紙の外、箱の上部に置く
5. 定期的な“虫干し”で美しさをキープ
どんなに丁寧に保管していても、湿気やガスは少しずつこもっていきます。
そこで大切なのが、年に1〜2回の「虫干し(むしぼし)」です。
これは晴れた日の午前中、風通しの良い場所でたとう紙を開き、着物を陰干しするお手入れ方法。
特に、湿度の低い秋(10〜11月頃)か冬の晴天日がベストです。
1〜2時間程度でOKですが、直射日光は避けてください。
これだけで、湿気・カビ・防虫剤のガスをリセットでき、振袖がより長持ちします。
💡チェックポイント
・干す前に手をきれいに洗い、清潔な布の上で広げる
・たとう紙が湿っていたら新しいものに交換
・干したあとは再度たたみ直して収納
虫干しは“振袖の健康診断”のようなもの。
状態を確認する良い機会でもあります。
6. 保管場所は「高温多湿・直射日光」を避けて!
最後に、意外と盲点になりやすいのが保管場所です。
押入れやクローゼットでも、場所によって湿度が大きく変わります。
理想は、北側の部屋の上段。
気温・湿度ともに安定しており、直射日光も当たりにくいため、振袖保管に最適です。
避けたいのは以下のような場所です。
- 洗面所や台所の近く
- 床下収納・窓際
- エアコンの風が直接当たる場所
また、振袖を長期間保管する場合は、衣装箱を時々少し開けて空気を入れ替えるだけでも効果的です。
密閉状態が続くと、防虫剤のガスや湿気がこもって生地に負担をかけてしまうためです。
7. まとめ|“手をかけすぎない”のが長持ちのコツ
防虫剤や乾燥剤は「たくさん入れれば安心」ではなく、「正しく使う」ことが一番大切。
和装品はとてもデリケートなので、少しの気配りが振袖の寿命を大きく左右します。
ポイントをおさらいすると…
| 対策 | 正しい使い方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 防虫剤 | 1種類のみ、上部に設置 | 入れすぎ・混用NG |
| 乾燥剤 | 3〜6か月で交換、下段に設置 | 過乾燥に注意 |
| カバー | ビニールNG、たとう紙で保管 | 黄ばみ・湿気の原因に |
| 虫干し | 年1〜2回、陰干し | 直射日光を避ける |
ちょっとした工夫で、数年後の振袖の美しさに大きな差が出ます。
成人式後も大切に保管して、妹さんやお子さんの代まで受け継げるように、ぜひ正しい保管方法を心がけてくださいね。
💠丸洗いと染み抜き、どう違うの?振袖クリーニングの正しい知識

1. 「丸洗い」は着物全体のクリーニング
まず、「丸洗い」とは振袖全体を洗うクリーニング方法のこと。
洋服でいう「ドライクリーニング」に近いイメージです。
専用の溶剤を使い、着物をほどかずにそのまま丸ごと洗浄。
皮脂やファンデーション、ほこり、軽い汚れなどを落とすのに最適です。
●丸洗いの特徴
- 全体的なうす汚れ・皮脂・においの除去に効果的
- 着物の形を崩さずに洗える
- 仕上げにプレスを行い、シワやヨレを整える
振袖を一度着たあとや、長期間保管する前の“メンテナンス洗い”としておすすめです。
💡プロのおすすめタイミング
・成人式や前撮りが終わったあと
・1年以上しまう前
・シーズンごとの点検時
ただし、丸洗いは万能ではありません。
丸洗いはあくまで「全体を軽く洗う」工程なので、部分的なシミや色移りなどには対応できない場合があります。
次に紹介する「染み抜き」との違いを知ることが大切です。
2. 「染み抜き」はピンポイントで汚れを落とす職人技
一方、「染み抜き」は部分的な汚れやシミを取り除く作業のことです。
こちらは職人が一点ずつ、シミの種類・原因・繊維の状態を見極めて処理を行います。
たとえばこんなケースです👇
- ファンデーションが衿に付いた
- 食事中にしょうゆや飲み物をこぼした
- 袖先に黒ずみや皮脂汚れができた
- 保管中に黄色っぽいシミが浮き出た
これらは「丸洗い」だけでは落とせないため、染み抜きが必要になります。
●染み抜きの特徴
- シミの種類ごとに専用薬剤を使用
- 手作業で少しずつ落とすため時間と技術が必要
- 料金はシミの大きさや数によって変動
また、染み抜きは「早めの対応」がとても重要。
時間が経つほどシミが酸化・変色し、完全には落とせなくなってしまうこともあります。
💡ポイント
・気づいた時点で早めに相談
・無理に自分でこすらない(生地を傷める原因に)
・“油性”“水性”“タンパク質系”など、シミの種類を伝えると処理がスムーズ
特に振袖は正絹(シルク)素材が多く、とてもデリケート。
家庭用のシミ抜き剤やウェットティッシュで拭くのは絶対に避けてください。
3. 丸洗いと染み抜きは「目的が違う」
ここまで読んで、「どっちをやればいいの?」と思った方も多いでしょう。
結論から言うと——
🌷 丸洗い=全体のお手入れ(予防的)
🌷 染み抜き=部分的な修復(対処的)
というように、役割が違います。
丸洗いが向いているケース
- 成人式のあと、一度着ただけで大きな汚れはない
- 収納前に全体をさっぱりさせたい
- 目立つシミはないけれど、軽い皮脂汚れが心配
染み抜きが向いているケース
- 特定の部分に明確なシミや汚れがある
- 保管中に黄色い輪ジミが出てきた
- 落ちにくい汚れ(油・ファンデ・飲料)がある
実際には、「丸洗い+染み抜き」を組み合わせて行うことが多く、状態に応じて最適な方法を選ぶのが理想です。
お店によっては、丸洗い後にシミが残った箇所を追加で染み抜きしてくれるサービスもあります。
4. クリーニングを出すときの注意点
●事前に伝えておくべきこと
クリーニングに出す際は、必ずスタッフに「いつ・どんな汚れがついたのか」を伝えることが大切です。
油性の汚れと水性の汚れでは処理方法がまったく違うため、情報があるほど正確に対応できます。
また、振袖の場合は「帯」「長襦袢」「重ね衿」などの小物も一緒に確認してもらうのがおすすめです。
特に衿周りや袖口の汚れは、時間が経つと黄変しやすい部分。
早めのケアが数年後の美しさを左右します。
●自宅での応急処置は慎重に
「すぐ落としたい!」と焦って家庭用の洗剤やアルコールで拭く方がいますが、これは絶対にNG。
絹は水や熱、摩擦に弱いため、簡単に輪ジミができたり、色がにじんだりします。
特に淡い色の振袖は染料がデリケートなので、プロに任せるのが一番安心です。
5. どのくらいの頻度で丸洗いするべき?
振袖は頻繁に着るものではありませんが、長期間しまう前には必ず一度丸洗いをおすすめします。
たとえ汚れが見えなくても、汗・皮脂・ファンデーションなどの“見えない汚れ”が残っています。
これらを放置すると、時間とともに酸化して黄ばみやカビの原因に…。
💡理想的なクリーニングのタイミング
- 成人式・前撮り・卒業式など「着た後すぐ」
- 数年間着ない予定があるとき
- 次に着る予定(妹さんやお子さん)がある前のチェック時
しっかりお手入れしてから保管すれば、次に袖を通すときも美しいままです。
6. 料金と納期の目安
着物クリーニングは素材や状態によって料金が変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| メニュー | 内容 | 料金目安 | 納期 |
|---|---|---|---|
| 丸洗い | 全体の洗浄・プレス | 約8,000〜15,000円前後 | 2〜4週間 |
| 染み抜き | 部分的なシミ取り | 1か所2,000円〜(大きさにより) | 状態による |
| 丸洗い+染み抜き | 総合メンテナンス | 約10,000〜20,000円 | 3〜5週間 |
あくまで目安ですが、振袖のような高級絹織物は慎重な作業が必要なため、一般的な洋服クリーニングより時間がかかる点も覚えておきましょう。
7. まとめ|正しいお手入れで、振袖は何十年も美しく
「丸洗い」と「染み抜き」は似て非なるもの。
全体のリフレッシュと部分的な修復、それぞれの役割を理解して使い分けることが大切です。
- 丸洗い:全体を軽く洗ってリセット
- 染み抜き:特定の汚れをピンポイントで除去
- 両方組み合わせることで、より安心・確実な仕上がりに
振袖は、丁寧に扱えば親子二代・三代で受け継げる一着です。
だからこそ、着たあとのひと手間が何よりも大切。
「とりあえず出す」ではなく、「状態を見極めて出す」。
それが、振袖を永く美しく保つ秘訣です。
💠いいクリーニング店の見つけ方
1. 「着物専門」のクリーニング店を選ぶことが最優先
まず大前提として、「着物専門」または「呉服専用クリーニング対応」のお店を選ぶことが重要です。
一般的な洋服クリーニングでは、ドライクリーニング溶剤を使用するため、絹や金彩加工のある生地には負担がかかりやすく、色落ちやテカリの原因になることがあります。
一方、着物専門のクリーニング店では、
- 生地や染料ごとに洗浄方法を変える
- 加工部分を避けて部分洗いを行う
- 仕上げ時に蒸気と温度を細かく調整する
といった“着物ならでは”の技術でお手入れをしてくれます。
お店選びの際は、ホームページなどで「着物クリーニング」や「悉皆(しっかい)業」と明記されているかどうかを確認しましょう。
2. 「丸洗い」と「部分洗い・染み抜き」の説明が丁寧なところ
良いお店ほど、「丸洗い」と「部分洗い(染み抜き)」の違いをきちんと説明してくれます。
例えば、
- 「丸洗い」=全体的な汚れ(皮脂やほこりなど)を落とすメンテナンス
- 「染み抜き」=部分的な汚れ(食べこぼし・雨染み・ファンデーションなど)に対応
といった説明を受けられるお店は信頼度が高いです。
特に、染み抜きは「汚れの種類」「経過時間」「素材の特性」によって方法が異なるため、職人の経験が大きく関係します。
「シミが落ちるかどうか」をはっきり答えてくれるお店や、見積もり時に丁寧に状態を確認してくれるお店は、きちんとした技術を持っている証拠です。
3. 見積もりをきちんと出してくれるかチェック
振袖のクリーニング料金は、
・生地の種類(正絹かポリエステルか)
・汚れの範囲
・加工の有無(金箔・刺繍など)
によって大きく変わります。
良いお店は、現物を確認したうえで**「どんな作業をするか」**をきちんと説明し、見積もり金額を提示してくれます。
「実際に預けたら思っていたより高額になった…」というトラブルを避けるためにも、見積もり段階での丁寧な対応はとても大切です。
また、見積もりの時に「保管サービス」や「仕上がりまでの期間」なども確認しておくと、より安心です。
4. アフターケアの説明があるかどうか
本当に信頼できるお店は、クリーニング後の「保管方法」や「次に着るまでの注意点」までアドバイスをしてくれます。
例えば、
- 仕上がったらすぐビニール袋から出す
- 風通しの良い場所で一晩陰干しする
- 防虫剤は直接触れないように注意する
など、着物を長持ちさせるためのケア方法を教えてくれるかどうかが、良いお店を見分ける大きなポイントです。
ただ洗って渡すだけではなく、“次に着るときの状態まで見据えた対応”をしてくれるところを選びましょう。
5. 着物専門店や呉服店の提携クリーニングもおすすめ
もし迷ったら、購入店やレンタル店に相談してみるのもひとつの方法です。
呉服店では信頼できる悉皆業者と提携していることが多く、着物の素材や加工を理解した上で最適なクリーニング方法を提案してもらえます。
とくに、振袖や訪問着などの高級品は、一般のクリーニングよりもこうした「専門ルート」に出した方が、仕上がりに大きな差が出ることがあります。
6. 口コミや評判も参考に
最近ではSNSやGoogleレビューなどで、実際に利用した方の感想を確認することもできます。
ただし「安い・早い」だけを基準にせず、
- 仕上がりの丁寧さ
- スタッフの対応
- 返却時の状態
など、品質面の評価を重視してチェックしましょう。
口コミで「生地がパリッと仕上がった」「シミが目立たなくなった」など、技術力を感じる感想が多いお店は信頼できます。
7. まとめ|“信頼できるお店”は、振袖の寿命を守るパートナー
振袖クリーニングで失敗しないためのポイントをまとめると、
- 着物専門のクリーニング店を選ぶ
- 丸洗いと染み抜きの違いを理解している
- 見積もりや説明が丁寧
- アフターケアまで対応してくれる
- 提携店や口コミ情報を活用する
これらを意識するだけで、仕上がりや生地の持ちがぐっと変わります。
大切な振袖は、成人式や結婚式、妹さんやご親族への引き継ぎなど、これから先も何度でも袖を通す可能性があります。
だからこそ、“一度きりの着用”で終わらせず、信頼できるお店と長くお付き合いしていくことが、結果的に振袖を美しく保ついちばんの近道です。
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