
皆さんこんにちは。Rental&photo ARIEL+桂 宇多津店の増田です。袖が長くて大きく揺れる形をしている振袖。未婚女性の第一礼装として、ハタチの集いの式典や卒業式、結婚式など着用されます。ヒラヒラと揺れる袖ですが実はデザインでないことをご存じでしょうか。本日は振袖の「振り」についてご紹介していきます。
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●振袖の「振り」ってどこのこと●
振袖の「振り」とは、女性の着物の袖付け(身頃と袖を縫い合わせている部分)から下の、開いている部分を指します。男性の着物にはこの「振り」がなく、袖が完全に袋状になっている「人形仕立て」になっているのが特徴です。そのため、男性の着物の袖はポケット代わりに小銭などを入れることができますが、女性の振袖の袖には物を入れることはできません。
この「振り」があることが、振袖の大きな特徴であり、名前の由来にもなっています。
【振りの役割と意味】
- 動きの美しさを演出
- 長い袖が揺れることで、動作がより優雅に見えるよう工夫されています。
- 特に振袖では、歩いたり、手を動かすたびに袖が流れ、華やかさと女性らしさが強調されます。
- 通気性・機能性
- 振りの開きは、体温調節や動きやすさのための工夫でもあります。
- 昔はこの部分から懐紙や巾着などを出し入れすることもありました。
- 装飾としての意味
- 振袖の振りの中にまで絵柄が続いていることもあり、柄が見えることで全体の豪華さを一層引き立てます。
●昔の人が考えた!振袖の「振り」のルーツ●

振袖の「振り」のルーツは1つだけでなく、古来の日本の信仰や風習、生活様式が複雑に絡み合って形成されたと考えられています。
着物の原型となる形ができたのは奈良時代~平安時代とされています。当時は「筒袖」でなく、開いた袋のような構造をしており風通しがよく動きやすい、そして振りに小物を収納したりなど「実用品」という形だったそうです。平安時代以降、公家の女性の着物などでも袖が徐々に長く広くなっていきました。これは身分の高さを表すとともに、女性が直接肌を見せないようにするための工夫でもありました。袖は長く広いものの「振袖」という意識はまだなかったそうです。
鎌倉時代~室町時代になると、少しずつ着物の形式が整い「小袖」が登場します。子供の小袖や踊り子の衣装として、袖丈が長いデザインが使われるようになりこれが「振袖」の原型とされています。
江戸時代には振袖が若い女性の第一礼装として定着し、未婚女性の着物として「振袖」が確立して袖の振りも大きく美しくデザインされるようになりました。
日本の古典には「袖を振る」「袖で顔を隠す」など、袖に関する所作が多く登場します。袖を振る仕草には、「別れや恋しい人を思う気持ちを伝える」や「相手の魂を呼ぶ・送る(霊的なメッセージを呼ぶ・送る)」という象徴的・呪術的な意味が込められていました。
1. 魂を呼び寄せ、厄を祓う「神聖なもの」としてのルーツ
昔の人々は、ひらひらと揺れ動く長い布には、神様を呼び寄せたり、魂を活性化させたりする力があると信じていました。
- 魂振り(たまふり)の儀式:
古代日本では、人が弱ったり元気がなくなったりすると「魂が枯れる」と考えられていました。その魂を再び奮い立たせるために行われたのが「魂振り(たまふり)」という儀式です。衣類などを振ることで、魂を揺り動かし、生命力を呼び覚まそうとしたのです。
この考え方から、袖を振る行為そのものが神聖な儀式であり、厄を祓い、場を清め、幸運を呼び込む力があると信じられるようになりました。成人式という人生の門出に振袖を着るのは、この「魂振り」によって娘の輝かしい未来を祈り、邪気を祓うという意味合いが、昔の人々の感覚としてあったのです。 - 神楽舞(かぐらまい)の巫女の袖:
神に仕える巫女が、神楽舞で長い袖の衣装をまとって舞う姿を思い浮かべてみてください。あの長い袖がひらめく様は、神様を招き、神がかりになるための大切な役割を持っていました。このような神事における袖の役割が、振袖の神聖なイメージの源流にあるとも考えられています。
2. 言葉にできない想いを伝える「コミュニケーションの道具」としてのルーツ
昔の、特に身分の高い女性は、感情を直接言葉で表現することがはしたないとされていました。そこで、袖の動きが、言葉の代わりとなる重要なコミュニケーションツールになったのです。
- 愛情表現としての「袖を振る」:
万葉集の時代から、和歌には「袖を振る」という表現が頻繁に登場します。これは、遠く離れた人への愛情や、別れを惜しむ切ない気持ちを表す仕草でした。- 好き: 意中の人に対し、袖を左右に振る。
- 嫌い: 袖を前後に振る。
- 悲しみ・涙: 袖で顔を覆う、涙を拭う。
このことから、振袖の「振り」は、未婚の女性が秘めた恋心や想いを伝えるための道具であったと考えられていました。
- 「振る」「振られる」の語源:
現代でも使われる恋愛用語の「(恋人を)振る」「(恋人に)振られる」という言葉は、この袖を振る仕草が語源になったという説が広く知られています。求愛に対して袖を横に振って断ったことから、「振る」「振られる」という言葉が生まれたというわけです。昔の人にとって「振り」は、恋愛と直結した非常にロマンチックなパーツだったのです。
3. 身分や状態を示す「しるし」としてのルーツ
長い「振り」は、その人の社会的立場や状態を示す「しるし」としての役割も持っていました。
- 労働をしない身分の証:
長い袖は、水仕事や畑仕事などの労働には不向きです。つまり、長い袖を優雅に着こなしていることは、自ら働く必要のない、比較的身分の高い層であることを示すステータスでした。 - 「未婚」であることの証:
結婚すると、女性は家庭に入り家事を担います。そのため、邪魔になる長い袖を短く切って縫い留めました。これが「留袖(とめそで)」です。
「袖を留める」ことは「夫のもとに留まる」「家庭に落ち着く」という意味合いを持ち、既婚女性の証とされました。逆に言えば、長い「振り」を持つ振袖は、まだ誰のものでもなく、これから良縁に恵まれる可能性を秘めた未婚女性の特権である、と昔の人々は考えていたのです。
このように、昔の人々にとって振袖の「振り」は、単なる美しい飾りではなく、祈りの対象であり、想いを伝える言葉であり、自らの立場を示す看板でもありました。
●現代の振袖にも受け継がれる「美しさ」と「願い」●

現代の振袖に受け継がれる「振りの美しさ」
現代の振袖において「振り」は、以下の点でその美しさを際立たせています。
- 優雅で華やかなシルエット:
長い「振り」は、立ち姿はもちろん、歩く、座る、腕を動かすといったあらゆる動作において、優雅でたおやかなシルエットを生み出します。特に、裾に向かって広がる振りの曲線は、女性らしい柔らかな印象を与え、見る人を魅了します。 - 動きによる表情の変化:
風が吹いたり、体を動かしたりするたびに、振りがゆらゆらと揺れ、生地の光沢や柄が様々に変化します。これにより、振袖全体に奥行きと動きが生まれ、生き生きとした表情を見せてくれます。特に光沢のある正絹(しょうけん)の生地や、金糸銀糸が織り込まれた豪華な振袖では、際立って目立ちます。 - 色彩と文様が織りなす絵画:
振袖の「振り」は、長いキャンバスのように、大胆な絵羽模様(えばもよう=縫い目をまたいで一つの大きな絵のように柄がつながっている模様のこと)や、緻密(ちみつ)な友禅染(ゆうぜんぞめ=絵画のように華やかで繊細な模様を布に染め上げる日本の代表的な染色技法です。)、刺繍(ししゅう)などが施される重要な部分です。動くたびにその美しい文様が姿を現し、まるで絵巻物や絵画を見ているかのような芸術性を感じさせます。流行の古典柄から現代的な柄まで、様々なデザインが「振り」を彩り、それぞれの個性を表現します。 - 未婚女性の瑞々しさと可憐さの象徴:
長い「振り」は、未婚女性だけが着ることのできる特権であり、その若さ、瑞々しさ、そしてこれから花開く未来を象徴する美しさがあります。華やかでありながらも、どこか儚げな魅力も併せ持ち、見る人の心を引きつけます。
現代の振袖に込められた「願い」
現代においても、振袖の「振り」には、古くからの言い伝えや、娘の幸せを願う親の気持ちが込められています。
- 厄除け・魔除けの願い:
これは古くからの言い伝えで、長い袖を振ることで、厄災や邪気を払い、清める力があると信じられています。成人式という人生の大きな節目に振袖を着用することは、娘がこれからの人生を健やかに、そして災いなく歩んでいけるようにという、親からの深い願いが込められています。 - 良縁成就の願い:
平安時代に、意中の相手に袖を振って求愛の意思を伝えたという話があるように、振袖の「振り」には良縁を引き寄せるという意味合いも受け継がれています。「良きご縁に恵まれますように」という願いが込められ、特に成人式で着用する振袖には、将来の幸せな結婚を願う親心が反映されています。 - 豊かな人生への祝福:
長い袖は、長く続く人生を象徴するとも言われます。成人という人生の大きな節目を迎える娘が、これから先の長い人生を豊かに、そして幸せに過ごせるようにという、親からの祝福と期待が込められています。 - 自立と成長へのエール:
振袖を着用することは、単なるファッションではなく、日本の伝統文化を身につけるという意識にも繋がります。振袖を着て、大人としての立ち居振る舞いを学ぶことは、精神的な成長を促し、社会人としての自立へのエールでもあります。
●振りの扱いとマナー●

振袖の「振りの扱い方」の基本
振袖の「振り」は、特に日常の動作で邪魔になりやすいため、意識して扱うことが大切です。
- 歩く時:
- 両手で振りを軽く持つ: 歩き出す前に、左右の振りの端を両手で軽く内側に持ち上げます。膝裏くらいの高さまで持ち上げるのが目安です。こうすることで、振りが地面に擦れるのを防ぎ、踏んで転倒する危険も回避できます。
- 腕を振りすぎない: 大きく腕を振ると、振りがはためいて周りの人に当たったり、物に引っかかったりする可能性があります。肘を軽く曲げ、胴体に沿わせるようにして、小股で上品に歩きましょう。
- 階段の上り下り: より注意が必要です。上る際は、左右の振りを両手でしっかり持ち上げ、足元が見えるようにします。下りる際は、後ろの裾も踏まないよう、少し持ち上げるか、片手で軽く抑えながら慎重に降りましょう。
- 座る時:
- 振りを膝の上に重ねる: 椅子に座る際、まず振りを前方に引き寄せ、左右の振りを美しく重ねて膝の上に置きます。床に垂らさないようにするのが基本です。特に汚れやすい場所では、膝に重ねた振りが椅子から落ちないよう注意します。
- 帯結びを潰さない: 帯結びを潰さないよう、椅子には浅めに腰掛けます。背もたれにもたれかかる際は、帯が潰れないようクッションなどを背に挟むと良いでしょう。
- 畳の部屋で座る時(正座・あぐら):
- 正座の場合: 振りを丁寧に膝の上に置き、重ねます。畳に振りが広がらないよう、裾全体を内側にまとめるようにすると上品です。
- あぐら(男性の場合や、女性でも許される場面): 同様に振りを膝の上にまとめ、広がらないようにします。
- 物を取る・渡す時、手を使う動作:
- 片方の振りを押さえる: 片手で何かを取る、渡す、あるいは筆記具を持つなどの動作をする際には、もう一方の腕が振りに当たって振りがはためかないよう、腕を通している側の振りの端を軽く押さえるようにするとスマートです。
- 食事をする時:
- 振りを帯に挟む、または膝の上に重ねる: 食事の際は、振りが料理に触れたり、汚れたりしないように細心の注意を払います。
- 一番良いのは、左右の振りを丁寧に重ねて、帯と帯揚げの間に挟み込む方法です。こうすることで、振りが固定され、食事に集中できます。
- または、膝の上にきれいに重ねて置きます。この際、ナプキンなどを振りの上に置くと、さらに安心です。
- 袖留めクリップの活用: 市販の「袖留めクリップ」や「アームバンド」のようなものがあれば、それらを使って振りを持ち上げ、固定することもできます。
- 振りを帯に挟む、または膝の上に重ねる: 食事の際は、振りが料理に触れたり、汚れたりしないように細心の注意を払います。
- トイレに行く時:
- 振りを巻き上げる・クリップで留める: トイレでは、振りが床に触れないように、裾と振りを全て持ち上げ、帯の中に挟み込むか、大きめの洗濯バサミや着物クリップなどで帯に留めます。可能であれば、お手洗いには付き添いの方と一緒に行き、手伝ってもらうと安心です。
振袖の「マナー」
振袖は礼装であり、その着用には日本の伝統的なマナーが伴います。
- 美しい姿勢を保つ:
- 背筋を伸ばし、肩の力を抜き、顎を引くことで、振袖姿がより一層美しく見えます。
- 内股気味に小股で歩くと、上品な印象になります。
- 上品な動作を心がける:
- 大股で歩く、ドタドタと音を立てて歩く、大きな声で話す、ガニ股で座るなど、品のない動作は振袖の美しさを損ねます。常に「見られている」という意識を持ち、一つ一つの動作を丁寧に行いましょう。
- 特に、階段の上り下りや座る動作は、慌てずゆっくりと行います。
- 物を大切にする心:
- 振袖は高価でデリケートな着物です。汚れや破れに注意し、大切に扱う気持ちを持つことがマナーです。
- 特に、地面に擦りつけたり、食事で汚したりしないよう、上記の振りの扱い方を実践しましょう。
- 周囲への配慮:
- 振りの長さゆえ、狭い場所や混雑した場所では、振りが周囲の人に当たらないよう注意します。
- 電車やバスに乗る際は、座席を大きく占領しないよう、また振りが周囲の人に触れないよう配慮しましょう。
- 写真撮影時のマナー:
- 記念撮影では、振りの美しさを最大限に活かすポーズを意識しましょう。振りを広げたり、流したりするポーズはとても華やかです。
- ただし、公共の場所や混雑している場所では、他の人の邪魔にならないよう配慮し、撮影に夢中になりすぎないようにしましょう。
●さいごに●
振袖の長い「振り」には、見た目の美しさだけでなく、深い意味や歴史が込められています。現代でもその優雅さは多くの人を魅了し、特別な日の装いとして愛されています。そんな振袖に込められた想いを知ることで、より一層着物の魅力を感じていただければ嬉しいです。
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